本稿は、シャー・へヴァー氏が、アラブ研究所(Arab Studies Institute) 発行の独立系電子ジャーナルJadaliyyaに発表した論考”Israel’s Zombie Economy”の全文訳である。原文は5回にわけて公表されたが、本誌では3回にわけて掲載する。本号では、日本の読者へのメッセージおよび第1回を掲載する。(翻訳=本誌編集部)
日本の読者のために
イスラエルの戦争経済に関する私の論考が日本語に翻訳されることは、大変に嬉しく光栄である。
パレスチナと日本は地理的に非常に離れているが、日本はガザにおけるイスラエルの継続的なジェノサイド、パレスチナ領の不法占領、そして歴史的パレスチナ全土に課せられたアパルトヘイト体制を支える上で重要な役割を果たしている。
日本はイスラエル製の兵器を購入することで、イスラエルの軍事機構の財源を支えている。イスラエルは「スタートアップ国家」としての評判を大いに利用し、自国の技術製品を正当化しているが、これらの製品のほとんどは、パレスチナ人を対象とした実地検証を通じて、安全保障分野で開発されている。日本との貿易、日本の大学との共同研究、政府間協定は、イスラエル国家が自らの犯罪の正当化、資金調達、常態化に用いる重要な手段であり、それゆえ停止されなければならない。
2016年に私が東京を訪れた際、東京の大学のある教授から、イスラエルを訪問し、エルサレムのヘブライ大学で開催された学術イベント――具体的には同大学のトルーマン平和研究所での会議――に出席したという話を聞いた。私は彼に、同大学が平和研究所を、日本に原爆を投下したアメリカ大統領にちなんで名付けたことについてどう思うか尋ねた。困惑した彼の沈黙は、イスラエルとの協力関係をめぐる日本社会での緊張や、日本の世論と政府の方針との間のズレを物語っていた。
だが、この10年間で状況は大きく変化した。日本の市民社会は、政府と日本企業に対し、イスラエルへの加担を終わらせるよう求める運動を組織してきた。伊藤忠商事とNAS(日本エヤークラフトサプライ)は、2024年初頭、イスラエルの兵器企業エルビット・システムズとの覚書を停止した。同年8月には、イスラエルは、長崎での平和祈念式典に招待されなかった。私が論考で述べるように、イスラエル社会は――ジェノサイドの犯行を企て、それを実行する力が自分たちにはあると確信するほどに――殺人的で病的な状態に陥っている。しかし、日本から伝わるこうしたニュースは、その確信を揺るがし疑念を抱かせるものである。日本は、イスラエルとのこうした亀裂を広げることで、パレスチナとの効果的な連帯を示すことができる。
しかし、やるべきことはまだある。イスラエルの砲弾製造を可能にしているのは、日本企業ファナックが供給するロボットである。これらのロボットがなければ、エルビット・システムズは155ミリ砲弾を製造することができないだろう。ファナックはエルビット・システムズにロボットを販売していないと主張しているが、エルビット・システムズの工場におけるファナック製ロボットの存在を示す動画が公開されている。もし第三者がファナックのロボットを供給していたとしても、ファナックはそれを阻止するための措置を何も講じていない。私がファナックに関する記事を書き、エルビット・システムズがファナック製ロボットの操作経験を持つエンジニアを募集している求人について問い合わせたところ、数時間以内にその求人情報から「エルビット・システムズ」という名前が削除された。これは、両社が相互の協力関係を隠蔽するために連携していることを明白に示している。
ここに訳出される論考は、子どもたちを含む何万人ものパレスチナ人がイスラエル軍によって殺害されたという、深い悲しみのなかで書かれた。私たちは、この悲しみを絶望に変えてはいけない。これらの論考は、イスラエルがなぜ2年半以上もジェノサイドを続けながらも崩壊せずにきたのか(私が「ゾンビ状態」と呼ぶ根拠)を説明するとともに、イスラエルの猛攻撃は持続不可能であり、国際的な圧力が人権、人間の尊厳、国際法を守る上で実質的に影響を与えうると再確認することを目的としている。









