はじめに
経済成長論で例外とされるのがアルゼンチンであり、先進国から「開発途上国」になった唯一の事例とされる。それには失われた30年を経験している日本に住む我々も関心を向けざるを得ない。そのアルゼンチンでは2023年11月に行なわれた大統領選挙決選投票で、198三年民主化以降最も右派的なハビエル・ミレイ氏が当選し、同年末にミレイ右派政権が発足した。202三年の大統領選挙では、ラテンアメリカを代表するポピュリスト政治家ファン・ドミンゴ・ペロンが創設したペロン党(正式には公正党)系の左派フェルナンデス政権の経済相セルヒオ・マッサ氏との決選投票となった。選挙戦でミレイ氏は不要な財政支出を切り詰めるためにチェーンソーを持つパフォーマンスを行ない、経済のドル化などを行なうことによりインフレを抑制することを公約の全面に押し出していた。
1983年の民主化以降アルゼンチンでは、前述のポピュリスト政党であるペロン党と中道あるいは中道右派政権が交互に政権に就いていた。21世紀になりペロン党系左派政権が4期16年政権を担っていた。ミレイ政権発足前の政権もペロン党系左派政権であった。本稿では、こうしたアルゼンチンの民主化後の政治と経済過程を踏まえて、ミレイ政権登場の背景を説明し、またミレイ政権が実行している政策とその結果を検討する。









