原発事故由来の放射性物質による健康や生活への影響を低減させるため、国は、汚染物を除去する大規模な除染事業を実施してきた。
汚染廃棄物は多種多様だが、集められたもののうち最も多いものは、汚染土だ。その量は東京ドーム11杯分、10トントラックにして200万台分にも達する。環境省は東京電力福島第一原子力発電所が立地する大熊町と双葉町にまたがる1600ha(渋谷区の面積とほぼ同じ)の土地を中間貯蔵施設用地として買収(一部借用)し、汚染土をびっしりと埋め込み、保管している。
今、この途方もない量の土を掘り返して全国で再生利用する計画が進む。汚染土は2045年3月末までに県外で最終処分することが法で定められており、そのためには汚染土の利用を進めることが、最終処分量を減らす鍵になるという。
6兆円もの巨費をかけて集め、貯蔵した汚染土を、再度、掘り出して、バラまく――いったい何のための除染事業だったのか。本来は一元管理すべき放射能汚染物を再拡散する目的は何か。巨額のカネはどこに流れるのか。
排出者責任なき国民負担
環境省は、除染作業によって集めたものを廃棄物と土に分けてフレコンバッグに収納している。廃棄物のうち可燃物は巨大な仮設焼却炉を30基建てて焼却し、不燃物(がれきなど)は7割を再生利用した。汚染土については、一部を飯舘村の農地に還元する実証事業を実施中で、残りの大半を前述の焼却灰とともに中間貯蔵施設で貯蔵している。県土の7割を覆っている森林の除染は実施せず、バイオマス発電で燃やすことにした。しかしこれらの焼却や再生利用による大量の放射性粉じん(目に見えない微粒子)飛散問題や、放射能汚染灰の処分などは見えにくく、丁寧な説明もなく、一方的に処分を押し付ける環境省への不満が福島県内外で高まり、課題は山積している。







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