特集「軍拡からの脱出」(2026年1月号)
シリーズ「高市軍拡の問題点」(2026年1月号)
政治の安全保障とは、国家の安全を守るために軍事・外交・経済などの方針をどのように決定するかという問題であり、憲法、外交関係、軍事力、経済安全保障など、多様な価値観と利害が交差する極めて政治的なテーマである。何をどのように守るのか、軍事力をどこまで保有するのかが常に問われてきた。しかし、軍事力の拡大は本当に安全保障につながるのだろうか。私は、軍拡は決して平和をもたらさず、むしろ戦争への道標を作るものだと考えている。
2022年12月、岸田政権は防衛費を5年間でGDP比2%に引き上げる方針を閣議決定した。私が共同代表を務める「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」が発足した背景には、この政策への深い危機感がある。そして今、日本初の女性総理となる高市早苗政権が発足した。女性リーダーの誕生は本来喜ばしいはずだが、私は素直に喜べず、心にざわつきを覚えている。私たちが求めてきた女性リーダー像は、単に女性であるかどうかではなく、人権と平和を重視し、ジェンダー平等を推進し、多様性を守る強い意志を持つ政治的リーダーである。
今の違和感の核心には、高市政権が進めようとする安全保障政策そのものがある。所信表明演説で示されたように、高市政権は「防衛費GDP比2%」の達成を2025年度中に前倒しする方針を示した。これは暴挙と言ってよい。さらに米国からはGDP比3%超を求める声すらある。GDP比2%は約11兆円、3%超は約21兆円に達し、消費税収に匹敵する規模である。これを賄うには消費税20%が必要になる計算だ。
一方、日本維新の会は「医療費4兆円削減」や「社会保険料軽減」を掲げ、自民党との連立合意書にも社会保障改革が盛り込まれている。社会保障に削減を迫りながら、軍拡には無制限の投入を続ける。この姿勢が果たして国の安全保障に資するのか、私は強い疑問を抱く。












