オスプレイは、一つの航空機でヘリコプターと固定翼航空機の二つの機能を合わせ持つという高い目標を掲げた輸送機である。
最初のオペレーションは、2007年9月のイラク派兵である。20機の米海兵隊用のオスプレイ(MV22)が沖縄の普天間基地に配備されている。米軍は、この他に横田基地に6機(米空軍のCV22)、岩国基地に4機(米海軍)を配備している。さらに陸上自衛隊は2025年8月12日、木更津に暫定配備していたオスプレイ17機の佐賀駐屯地への移駐を完了した。合計47機のオスプレイが日本に配備されている。世界全体で約480機とされるので、約1割が日本配備という異様な状態である。
これまでオスプレイは数々の重大事故を起こしてきたが、ほとんどの場合、パイロットの人為的ミスが原因であり、機体に欠陥はないと説明されてきた。ところが2022年8月の米空軍による空軍用CV22全機の飛行停止措置以来その様相が一変し、そもそも航空機としての資格がないのではないかと思わせる事態が続いている。
クラッチの不具合
2022年8月16日、米空軍特殊作戦司令部(以下、AFSOC)は、ギアボックス内のクラッチの不具合(ハード・クラッチ・エンゲージメント、以下HCE)を理由にCV22オスプレイ全52機の飛行を停止した。横田基地配備の6機は直ちに飛行を停止し、陸上自衛隊も停止した。海兵隊は、この現象は2010年から把握し対処をしているので飛行停止は不要とした。
AFSOC広報官レベッカ・ヘイズ中佐は、HCEについてCV22のエンジンの動力をプロペラ・ローターに接続するギアボックス内のクラッチが原因不明で滑っており、その後、急にかみ合うことで機体が揺れる現象であると説明した。この説明は今一つ理解しにくいが、防衛省によれば「プロペラとそのエンジンをつなぐクラッチが原因不明で離れ、再結合する際に衝撃が発生する現象」としている。
9月2日、米空軍は飛行再開を決定した。わずか2週間足らずで問題が解明されたとは到底考えられない。9月8日、「オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会」は、クラッチ問題につき防衛省と交渉を持った。





