読売新聞社、国の広報事業を受託
何のために、誰のために報道機関は存在するのだろうか。
全国紙の販売部数の約45%を占める読売新聞。その発行元である読売新聞社が、ここ四年の間に、東京電力福島第一原発事故に関係する少なくとも一八の広報事業を、国と福島県から受託していることがわかった。
その中の一事業の報告書は、事業目的として「国の戦略に基づく効果的な情報発信の計画・実行・検証」と明記している(復興庁、二〇二三年度)。この事業の名称は「風評払拭のための多様なメディア・コンテンツによる情報発信事業」という。前年度までは日本最大の広告代理店である電通に委託されていたものだ。
調べた限りでは、読売新聞社への委託事業が最初に実施されたのは二〇二二年度である。そこから二〇二五年度までの受託内訳をみると、資源エネルギー庁から二事業、経済産業省から三事業、復興庁から二事業、福島県から九事業である。委託額の総額は約一九憶円にのぼる。
受託した事業のすべてが、福島第一原発事故に起因する「風評被害」の払拭・防止を目的に掲げる——いわゆる「風評払拭」事業である。
はじまり──海洋放出「特需」
政府をはじめとする公権力から独立していなければならないはずのメディア企業が、国の事業、それも広報事業を受託するなどということが、なぜ始まったのだろうか。
読売新聞社が広報事業を受託しはじめた背景には、ALPS処理汚染水の海洋放出の政府決定がある。国内外から海洋放出に反対する声が高まるなかで、世間に「安心・安全」「無関心」の空気を醸成するために、国が巨額の広報費を投じたことが直接的な契機であったことが、調査の中から見えてきた。




