特集「軍拡からの脱出」(2026年1月号)
シリーズ「高市軍拡の問題点」(2026年1月号)
自民党と日本維新の会は、「連立政権合意書」において、安保三文書の改定を前倒しで行ない、防衛装備移転三原則の運用指針が定める輸出可能な武器のいわゆる「5類型」を2026年通常国会で撤廃すると明記した。すでに自民党は、三文書改定に向けた党内議論を開始している。
これは、2025年9月19日に出された「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」報告書の、「防衛装備移転については、救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に該当すれば移転が認められ得るといったルールが設けられているが、現実を勘案し、国民の理解を得て移転の道を広げていくことが必要である」との提言をさっそく取り入れたものである。
もともと、自民党は5類型の撤廃を求めてきていた。6月6日付の自民党安全保障調査会の提言でも、「防衛装備移転三原則の運用指針を不断に見直すこと。特に、5類型の撤廃について、検討すること」と明記していた。連立相手が公明党から維新の会へと替わった局面で、この機を逃すまいと実現に向かって踏み込んでいる。
一方で、連立を離脱した公明党の斉藤鉄夫代表は、11月5日の衆議院代表質問において、「自公政権下で決定し、その後、慎重に議論してきた5類型を全面的に撤廃すれば、『平和貢献・国際協力』の目的が揺るぎかねない。また、当然ながら紛争当事国へ殺傷兵器が供与されないよう、明確な歯止めが必要だ」と牽制している。
「5類型」とは何か
そもそも「5類型」とは何であるのか。2014年4月1日、安倍政権は武器輸出三原則を撤廃し、「防衛装備移転三原則」を閣議決定。その「運用指針」を国家安全保障会議で決定した。そこには、「防衛装備の海外移転を認め得る案件」として、「我が国との間で安全保障面での協力関係がある国に対する救難、輸送、警戒、監視及び掃海に係る防衛装備の海外移転」と明記された。抑制的な用途に限定し、殺傷能力があったり、物を破壊できたりする自衛隊法上の「武器」の輸出は禁じられた。自衛隊法上の武器には戦車や戦闘機、護衛艦はもちろん、弾薬も含まれる。これは、武器輸出に対して慎重だった公明党の意向を反映したものと言われている。
現時点で、5類型に基づく完成品の武器輸出は、2023年からフィリピンへの輸出が始まった三菱電機製の防空レーダーの一例しかない。













