南鳥島は適地か?——核ゴミ処分に潜む多くの難題

高野 聡(原子力資料情報室スタッフ)
2026/05/07
Aerial view of a small island with a straight runway, sandy beaches, and a tall radio antenna toward the coast.
アメリカ空軍の撮影した南鳥島の写真(1987年6月)。日本最東端の南鳥島は、海底からそびえ立つ巨大な海山の頂きにあたり、太平洋プレート上にある日本で唯一の陸地。

見過ごされているリスク

 その硬い表情に、自治体の長としての苦悩がにじみ出ていた。東京都小笠原村の渋谷正昭村長が4月13日、国による南鳥島での文献調査の申し入れについて、国が主体的に責任を持って判断すべきとの考えを表明した。これは経済産業省が3月3日に高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設に向けて、第一段階の調査である文献調査を南鳥島で実施するために、小笠原村に申し入れを行なったことに対する回答だ。国が判断を翻すことは考えにくく、事実上、調査実施の可能性が高まった。

 確かに南鳥島は、4つのプレートがぶつかり合う日本列島の中で、プレート境界から離れた太平洋プレートの上に存在するという特徴を持ち、地震や火山による影響を最も受けにくい地域と推測される。地球科学的な安全性の観点から、南鳥島を地層処分の最も有力な候補地として挙げている専門家がいることも事実だ。しかし安全な地層処分を考える際に、地震や火山の影響以外にも留意すべきリスクはたくさんある。まずそれらについて指摘した後、「南鳥島での地層処分」に潜む様々な難題を指摘していきたい。

1  地上施設建設の困難さ

高野 聡

(たかの・さとし)原子力資料情報室スタッフ。 経済産業省の特定放射性廃棄物小委員会委員 。青山学院大学卒業、韓国・慶北大学大学院で行政学修士号取得、ソウル大学環境大学院博士課程。

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