DICAS(ダイキャス)とは、いったい何なのか。編集部から難しいお題をもらって本稿を書いている。正式名称「日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議」とは、2024年4月の日米首脳会談で創設が決まった協議体を指す。その目的は、米軍の武器不足や米軍需産業の供給力低下を日本が補い、米軍向けのミサイル生産や戦闘機・艦船の維持整備を日本企業が担う仕組みづくりだ。
2024年6月、10月、12月と、3回にわたって会合が開かれ、親会議の下に設置された「ミサイルの共同生産」など4つの作業部会でも協議が進むが、いつどのような形で、どんな事業が始まるのか、いまだに全体像は見えていない。
さらに米大統領選で「米国第一主義」を掲げるトランプ氏が勝利したことで、DICASの先行きは不透明さが増しているが、協議体が設置された背景や日米両政府の思惑、米軍の武器生産の「下請け化」が懸念される日本の防衛産業への影響をできる限り報告したい。
ミサイル生産の行動計画を提出
はじめに事実関係をおさらいする。日米両首脳の意向を受け、ラプランテ米国防次官(取得・維持整備担当)が2024年6月に来日し、当時の深沢雅貴防衛装備庁長官を交えてDICASの初会合を開き、日米防衛産業協力を進めるためDICASの設置要綱に署名。さらに「ミサイルの共同生産」「前方展開される米海軍艦船の維持整備」「米空軍機の維持整備」「サプライチェーンの強靱化」をテーマにした4つの作業部会を設置することで合意した。
艦船維持整備の作業部会はさっそく6月に開かれたほか、9月には残り3つの作業部会も開催。前後するが、7月下旬の日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)では、DICASを通じて、弾道ミサイルを迎撃する地対空誘導弾「PAC3MSE」と、中距離空対空ミサイル「AMRAAM(アムラーム)」の共同生産を目指すことで合意した。その実現に向け、両政府は「実行可能なビジネスケースの促進」「計画のタイムラインの設定」「求められる調達量の確定」「資金メカニズムの特定」などに関する行動計画を2024年末までに提出することを決定。10月のハワイでのDICAS第2回会合を経て、12月にオンラインで開かれたDICAS第3回会合では、アムラームとPAC3MSEに関するそれぞれの行動計画が了承された。
防衛装備庁は取材に、行動計画の内容について「共同生産の課題の特定や、どれくらいの費用や時間がかかるのか、日本側でどのような生産活動が可能かに関する検証項目が書かれている」と説明するが、行動計画そのものは「相手国との関係や、共同生産の可能性を検討している段階の文章」として非公表という。両政府は行動計画の具体化に向けて両国の関連企業との連携を深め、ミサイルの共同生産に向けた議論を2025年に「さらに加速する」ことを確認。同年6月までに第4回会合を開くことも決めた。
ミサイル生産で具体名が出たPAC3とは、米国のレイセオン社とロッキードマーチン社が開発し、自衛隊向けは日本側が特許料を支払って国内で生産する「ライセンス生産品」として、三菱重工業が請け負っている。アムラームとは最新鋭ステルス戦闘機F35などに搭載するミサイルで、米企業が開発・生産しているが、日本国内では現在生産されておらず、計画がまとまれば日本でライセンス生産されることになる。いずれも、ロシアの軍事侵攻を受けたウクライナへの武器供与などにより米国内の備蓄が不足し、生産が追いついていないとされている。
武器生産に苦しむ米軍
「揺らぐ米の防衛力、日本は支援できる」という見出しの寄稿が6月10日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された。書いたのは、かねて日本の防衛力強化を歓迎する米国のエマニュエル駐日大使(本稿の執筆時点ではトランプ政権発足前の退任の意向とされている)だ。寄稿が掲載されたのはちょうど日本でDICASの初会合が開かれた時期で、米政府の意図を発信し、米国民、とりわけ米国内の軍需産業関係者の理解を得たい狙いがあったとみられる。
エマニュエル氏の寄稿では、米ソ冷戦の終結にともない国防予算が削減されるなかで、米軍需産業の統合・縮小と生産力の低下を嘆く文言が並ぶ。いわく「1990年代以降、防衛の主力請負企業の数は51社から5社に減少した」「防衛部門は2018~23年の間に推定1万7000社を失い、米海軍の造船所は第二次世界大戦中の11カ所から4カ所に激減した」。さらにウクライナへの対空ミサイルや対戦車ミサイルの大量供給で米軍の備蓄は枯渇しているとし、「武器生産能力を再構築するための計画を立てることが最も重要で、日本のような信頼できる同盟国がどのように貢献できるかを考えなければならない」と主張した。
エマニュエル氏はつづけて、「日本はPAC3の生産を倍増させる用意がある」と強調し、増加分を米軍へ輸出できる余力があるとアピール。三菱重工業の造船所とF35戦闘機の工場を見学したことも明かした上で、「日本の防衛企業は予算内で質の高い仕事を期限内に行なう。日本は米国の産業を強化する潜在力を秘めている」と持ち上げた。一方で、「日本の造船所の(米軍艦船の)修理業務の範囲が拡大すれば、米国の造船所は新たな生産に注力できる自由が得られるだろう」とも記し、米企業にもメリットがあるというメッセージも忘れなかった。
この寄稿は「米軍の武器供給網に日本も入って協力せよ」という米側の偽らざる本音が書かれている。そして、それはエマニュエル氏の個人的な意見ではない。
国家防衛産業戦略を策定したアメリカ
日米首脳会談が開かれる3カ月前の2024年1月、米国防省は初めてとなる「国家防衛産業戦略」を公表した。戦略文書はその狙いについて、ウクライナ侵攻やイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘などで世界的に武器生産の需要が高まるなかで「防衛産業基盤の課題について多くの教訓があった」とし、生産能力の拡大に向けて今後5年間にわたる防衛産業基盤への関与、政策立案、投資の指針を盛り込んだ。
その柱の一つとして、防衛産業のサプライチェーン強化のため、インド太平洋の同盟国・同志国との防衛産業協力を進めると明記し、候補先の国・地域として「豪州、カナダ、欧州連合(EU)、インド、イスラエル、日本、メキシコ、韓国、台湾、英国」が挙げられた。
同戦略が策定された背景には、急速に軍備増強をつづける中国の存在がある。戦略文書では「中国は30年間で造船や希少鉱物、電子機器といった重要分野で世界の産業大国に変貌した」と指摘。中国の防衛産業の「生産能力は米国だけでなく、欧州やアジアの主要同盟国の合計を大きく上回る」と危機感を示し、台湾や南シナ海をめぐる中国との有事を念頭に、日本を米国の安保戦略のなかに組み込む意図を隠そうともしていない。
日本政府の思惑は
「米軍の艦船および戦闘機が米本土に戻ることなく日本国内で維持整備を行なうことは、修理期間の短縮や効率化を通じて米軍の即応性を高め、その結果として日米同盟の抑止力、対処力の向上に資する」
DICASの初会合後に開かれた参院外交防衛委員会で、当時の木原稔防衛相は日本側のメリットについてそう語った。加えて「わが国における防衛生産技術基盤の強化に資することになる」と日本企業側の技術力向上につながるとも強調した。
米軍艦船について捕捉すると、米国本土やグアムを母港とする米海軍艦船は米国内法の規定により外国の造船所で整備できず、作戦上などの理由でアジア周辺に展開していても本格的な補修や分解、整備のために定期的に米本土の施設に戻る必要があった。長距離移動も含めて数カ月から年単位かかることもあるため、日本で修理できれば、インド太平洋地域にとどまることができ、日本も関わる有事の時にすぐに対応できるというロジックだ。4月の日米首脳会談で公表されたファクトシートにも、DICASの計画実現のため、米側は法規定の改正に向け「米議会と協働する計画である」と記した。
在日米軍基地に所属する米空軍機の「F15」「F16」などについても、定期的な大規模整備は韓国にある整備施設などで実施されてきたが、日本国内でできれば整備にかかる期間が短縮でき、国内企業も潤うという。木原前防衛相の発言があった6月時点で、複数の防衛省幹部に取材したメモには「米軍艦船の維持整備が回り回って日本周辺の抑止力、対処力向上につながる。日本企業にもビジネス的メリットがある」と異口同音の〝模範解答〟が書いてあった。ただし、日本の民間企業が関わるため「何でも『お国のために』というわけにはいかないので、日本企業の利益が確保されないといけない。米国との価格交渉も含めてDICASは防衛省にとって新たなチャレンジだ」と冷静に分析する幹部もいた。
布石だった武器輸出ルールの緩和
日米両政府は2022年ごろからDICAS構想について水面下で調整していたのではないか。あらためて日本政府の関連文書を見直すと、そんな疑念が浮かび、ぞっとする。
そもそも日本は長年、ミサイルなど殺傷能力のある武器の輸出は原則禁じており、つい最近までPAC3やアムラームを米国に輸出するなどということは、議論すらできなかった。それが2022年末に策定した国家安全保障戦略などの安保関連三文書で、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」の緩和を明記。約1年に及ぶ政府・与党の密室協議を経て、英国やイタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出など殺傷武器の輸出を可能にした。他国企業のライセンス生産品の輸出規制をめぐっても、従来は米国企業のライセンス生産品の「部品」に限って米国へ輸出するケースしか許されなかったものを、ライセンス元の国に対し「完成品」も輸出できるようになり、DICASの交渉に臨む日本の準備が整った。緩和されたルールの適用第1号は2023年12月、自衛隊が保有するPAC3と旧型のPAC2を含めた「パトリオット」の米国輸出だった。DICASにおける計画が実現すれば、今度は自衛隊の「お古」ではなくて新品の輸出が現実味を帯びる。
さらに安保三文書を見返すと、「米国製装備品の国内における生産・整備能力の拡充、サプライチェーンの強化に係る取組等、装備・技術協力を一層強化する」とDICASを想起させる記述を見つけた。日本政府が三文書を閣議決定する9カ月前にウクライナ侵攻が起きており、日米両政府間で議論していた可能性もゼロではない。点と点が結ばれて線が浮かび上がるように、武器輸出ルールの緩和とDICASは地続きだったのではないかと感じさせる。
武器輸出ルールの緩和は戦後の日本の防衛政策の大転換だったにもかかわらず、集団的自衛権の行使を容認した安保法制の時ほど世論から反発は起きず、国会審議も盛り上がりを欠いた。問題提起を十分にできなかった私も含めたメディア側の責任もあるが、このルール変更を許してしまったことが将来に禍根を残す気がしてならない。
2024年10月の衆院選では、「政治とカネ」問題が直撃したことで自民・公明両党は少数与党となった。ある政府関係者は「政治状況がこれだけ不安定になると、武器輸出ルール緩和の議論なんて進めようという雰囲気にならなかっただろう。ルール改定を進めておいて良かった」と本音を漏らしていた。
最大手の三菱重工の受け止めは
2024年6月のDICAS初会合では、日米両政府と両国企業との意見交換会が開かれた。防衛省は日米の計15社ほどが参加したと明かしたが、具体的な企業名は伏せた。企業側の思惑を探ろうと、私は2024年11月、三菱重工業と川崎重工業、IHIとジャパンマリンユナイテッド(JMU)の4社に取材を行なった。
この中で、三菱重工業はPAC3のライセンス生産を請け負い、米政府高官が同社のF35戦闘機の工場を見学するなど、DICASの計画に参画するのはほぼ間違いないだろう。意見交換会への参加について、同社広報は取材に「弊社は回答する立場にない」とコメント。ただ、計画に参画するかは「個別要請があれば都度検討いたします」と否定しなかった。
日本の防衛費を2023年から5年間で総額43兆円と増額する「防衛特需」の恩恵を最も受けるのは三菱重工業だ。長年にわたって防衛省との契約額トップの位置を占め、2023年度は前年度比で実に4.6倍となる約1兆6800億円に増えた。2024年11月5日に発表された同社の同年4~9月期の連結決算(国際会計基準)でも、純利益は1071億円と前年同期比17%増を記録し、防衛や宇宙事業の業績が要因になった。DICAS計画が実現し、エマニュエル氏が米紙で明言したようなPAC3の年間生産数が倍増するなどすれば、同社の経営にはさらなる追い風になるだろう。
一方、防衛省内からは三菱重工業が米戦闘機の維持整備に名乗りを上げることに対し、「いまは三菱重工側も自衛隊向けの戦闘機の補修や生産で手いっぱいのはずで、そんな余力があるのか」「同社の工場の敷地は限られており、仮に米戦闘機に対応するため組み立てなどのラインを増設しようとしても調整は相当大変なはずだ」と懸念する声が相次ぐ。米国のために日本自身の防衛力整備計画に穴があくようなら本末転倒との批判は免れないだろう。
IHIは意見交換会に参加
ほかの大手企業はどうか。
米戦闘機F15をもとにした航空自衛隊のF15J戦闘機で、米企業とライセンス契約してエンジンの製造を手掛けるIHIは取材に対し、6月の意見交換会に「参加した」と回答。政府側からDICAS計画参加の打診があったかについては現時点で「受けていない」と答える一方、DICASについて「日米の防衛産業は、ほかの業種と同様にサプライチェーン維持に関して課題を抱えている。DICASはこれらを解決する手段の一つとして、有用な枠組みと捉えています」とし、参画への意欲が透ける。
米艦船の維持整備の候補となるのは、海上自衛隊の艦船整備で実績がある川崎重工業やジャパンマリンユナイテッド(JMU)などだ。DICASについて、川崎重工業は取材に「当社として協力に向けた検討を行っていきたい」と前向きに回答。JMUは「詳細が不明のためコメントは差し控えます」と断った上で、「DICASという枠組みにおける米軍艦船維持整備の具体的な政府間の展開を注視している」と関心をのぞかせた。
トランプリスクは
この数年、日米両政府が温めてきたとみられるDICAS構想だが、トランプ氏が2025年1月、米大統領に正式就任した場合にはどうなるのか。
米企業側の視点からみると、ミサイル生産や艦船・戦闘機の維持整備の仕事を日本企業に奪われると受け取られる可能性はある。米国民の雇用や産業を守る米国第一主義を掲げるトランプ氏が、DICASの計画を反故にする可能性も十分あり得るだろう。
一方、ある日本政府関係者は取材に対し、その可能性を否定する。その理由は、「米国は損しないからだ」という。そのからくりは、米国の「ライセンス生産品」にある。少々古いが、2000年代はじめに、PAC3は1発約8億円と推定され、うち約3億円が米側に支払うライセンス料ともいわれた。日本企業が生産数を増やせば、米企業もその分潤う。政府関係者は「米国企業が生産する余力がないから、日本で造るけど、米国にはライセンスフィーというお金が何もせずに入る仕組みだから『悪くないんだ』とトランプ氏にプレゼンすればよい」と語る。
だが、そんな単純に話が進むと私は思わない。なぜなら同じミサイルなのに、米国内で造るより相当割高になる「日本産」をそのまま購入することに米議会が納得するか疑問だからだ。日本側にとって最悪のシナリオは、ライセンス料が据え置かれた上での単価引き下げだ。利幅が減るなどしわ寄せを受けるのは当然、日本企業だ。この場合には日本政府がライセンス料の一部を肩代わりすべきだという要求もあり得る。
米艦船や戦闘機の維持整備のケースでも、アメリカ側に安く買いたたかれるのではないかという懸念は防衛省内で根強い。適正な価格転嫁ができずに損をする、「下請けいじめ」と同じ構図が日米間で起きることにならないか。それに対し、ある防衛省幹部は6月のDICAS初会合で「技術移転の促進等により、日米双方が裨益(ひ えき)する事業とすること」という原則に日米が合意したことを挙げ、日本側だけが損をするような事例は起きないよう「政府として交渉にどう臨むかだ」と語る。ただ、前回のトランプ政権時代にF35など米国製武器を爆買いしたように、交渉が日本にとって有利に運ぶ保証はどこにもない。
2024年12月のDICASで了承されたPAC3とアムラームの共同生産に関する行動計画についても、大統領就任前に既成事実化を図り、トランプ氏のちゃぶ台返しをくい止めたい日米両政府の思惑が透ける。行動計画を見たという与党国会議員は、実際に日本で生産して輸出するまでに数年かかるという見通しを示した上で、「PAC3に必要な部品が不足しているなど、まだ不透明な部分が多い」と指摘。特に、日本でライセンス生産されていないアムラームに関しては「エマニュエル米大使が自らの実績作りのために前のめりだったけど、実現するにはかなりハードルが高い」と明かした。
平和国家の理念は崩壊
日本は長年、武器の海外輸出をめぐっては、無秩序に他国に渡るようなことになれば国際平和を脅かす恐れがあるとして厳しく制限してきた。憲法が掲げる平和主義にもとづき、紛争の助長につながりかねない行為を慎んできたのだ。
だが、岸田文雄前首相は、急激に軍備増強する中国や、国際法に違反してウクライナへ軍事侵攻したロシア、核・ミサイル開発にまい進する北朝鮮を念頭に、「日本を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しく複雑だ」として、日本の仲間となる「同志国」との連携を深める政策手段として武器輸出の促進を位置付け、殺傷武器を含む輸出ルールの大幅緩和に踏み切った。
DICASに深く関係する「ライセンス生産品」の輸出ルールの変更について、先ほどの説明のつづきがある。ライセンス元国から別の第三国への輸出もできるようになったのだ。日本政府は第三国輸出される場合、米国などライセンス元の国に対して日本の事前同意を義務付け、ミサイルなどの殺傷武器に関しては「現に戦闘が行われていると判断される国」への輸出は認めないとした。厳格に審査することで紛争国への流出の歯止めになるという説明だが、輸出された後に適正に管理されているかを確認できる仕組みは担保されていない。輸出後まもなく、その国がどこかの国と紛争を始めるケースもあり得る。
さらに、2023年12月に決まった日本から米国への自衛隊保有のパトリオットの輸出の時にも指摘されたが、「ところてん方式」による紛争国への輸出の可能性も捨てきれない。つまり、米国の在庫を日本が補塡することで、米国内にあったパトリオットをウクライナへ供与しやすくなり、間接的なウクライナの戦闘支援につながるという展開だ。DICAS計画が実現し、日本が米国に輸出したPAC3やアムラームが他国の戦争に使われる可能性は残るのだ。
岸田前首相は、武器輸出ルールの大幅緩和について「平和国家としての基本的な理念は変わらない」と国会答弁で繰り返したが、それは詭弁だ。集団的自衛権を容認し、同盟国・米国への武器供与もできるようになった。DICASは、こうしてルール上可能になった武器輸出や共同生産を実行段階に落とし込む作業と言える。
日本は、戦後守り抜いてきた平和国家のイメージを捨てて一線を飛び越え、米国と一緒に「戦える国」に変貌しつつある。少なくとも中国やロシア、北朝鮮はすでに変貌したと認識しているだろう。平時から日本がサイバー攻撃などの対象になるリスクは格段に高まったといえる。
日本が下請けとなり、米軍の武器供給網に組み込まれれば、日米の軍事的一体化はさらに深まる。それは、日本が直接攻撃されないケースでも米国の判断に引きずられて有事に巻き込まれるなど、日本の独立性を毀損することにもなりかねない。大きなリスクをはらんだDICASに関する今後の日米交渉をしっかり監視したい。






