【新刊】愛と連帯

非正規労働者、国会へ

著:大椿ゆうこ

2025年7月発売、地平社刊

働く人たちの使い捨てを許さない。

私は氷河期世代。
非正規の仕事で生きてきた。
解雇され闘った経験を経て、国会議員に。
あなたと一緒に闘う、
ブレない政治家のストーリー。

愛と連帯

非正規労働者、国会へ

愛と連帯――非正規労働者、国会へ 2025年7月1日発売 四六判上製、208ページ、1600円(税別) ISBN:978-4-911256-24-4

(おおつばき・ゆうこ)参議院議員。厚生労働委員会所属。社会民主党副党首。就職氷河期世代で、30代まで非正規雇用を掛け持ちして生計を立てる。2006年より関西学院大学で障害のある学生の就学支援事業に携わるが、2010年、上限4年の有期雇用を理由に雇い止め解雇となる。継続雇用を求め3年9か月闘うが、原職復帰は叶わず。2011年から大阪教育合同労働組合の専従役員として、主に非正規労働者の権利獲得のために活動。2016年、同労組執行委員長。2023年4月、繰上げ当選で国会議員に。
岡山県高梁市出身。実家は兼業農家。家族はカタルーニャ人のつれあいと保護猫2匹。

大椿ゆうこ

雇い止めにあい、労働組合に入って闘ったことが私の原点だ。
2024年8月、ケニア。LGBTQ難民の保護施設にて。(撮影:島崎ろでぃー)
2025年5月3日、有明の憲法大集会。初めて党代表でスピーチ。各党代表と壇上でアピール。
2025年1月31日、長生炭鉱の潜水調査に立ち会う。坑口と2本のピーヤが見える。

本書はじめにより(抜粋)

2023年4月7日、クビを切られた非正規労働者が、ついに国会議員になった。

参議院の本会議場に「比例代表選出議員 大椿ゆうこ君」と紹介する議長の力強い声が響く。緊張が入り混じるなか、最前列の座席から立ち上がり、扇状に広がる議場に向かってお辞儀をすると、満場の拍手で迎えられた。天井のステンドグラスと、そこからこぼれるやわらかな光が、重厚感のある議場を包み込む。ニュースで見ていたあの場所に、今、自分が立っている不思議。

「追い風なんか一度も吹かなかった就職氷河期世代の私の人生に、こんなことが起こるだなんて」―そんな現実味のなさを感じながら、ようやくスタートラインに立てたことに、身が引き締まった。

しかし、そもそも自分から主体的に政治家になりたいと考えたことなど、一度もなかった。自分の身近に政治家もいなければ、将来の仕事の選択肢として「政治家」が思い浮かぶような環境で育ったわけでもない。多くの人たちがそうであるように、私も政治家のことを「自分とは住む世界の違う人たち」だと思っていた。

かつて職場の上司に、「大椿さんは政治家に向いているね」と言われたときも、すぐさま、「あんな性差別の巣窟みたいな世界で絶対に働きたくありません」と答えたことを、今でもよく覚えている。政治に詳しかったわけじゃないけれど、実社会よりもはるかに過酷な男社会だってことは子どものときから感じとっていた。性差別が幅を利かせている政治の世界に飛び込んで、「なんでわざわざ苦労しなきゃいけないの?」と思っていた。それほど、私と政治の間には大きな距離があった。

そんな私が、なぜ国会をめざすようになったのか。そして、議員になって見えた光景はどのようなものだったのか。議員として何に取り組んできたのか。何をしようとしているのか。私の体験と、いま考えていることをこれから話していこうと思う。

愛と連帯

タイトルの「愛と連帯」は、私が発行している国政レポートの名前から取った。2013年アメリカ・ウィスコンシン州を訪れた際、『市民蜂起―ウォール街占拠前夜のウィスコンシン2011』の著者、ジョン・ニコルス氏に会った。2011年ウィスコンシン州では、共和党のスコット・ウォーカー知事によって、公務員労働者、教員等から団体交渉権を奪い、労働組合の権利を制限する内容を含む財政改革法を提案された。まるで、橋下維新と同じじゃないか。市民は徹底的にそれに抗い、州議事堂を占拠するまでに至ったその一連の動きをまとめた本の著者だった。彼が著書にサインしてくれたメッセージが「Love & Solidarity 愛と連帯」だったのだ。よく使われる「愛と平和」よりも、よっぽど主体性が感じられた。誰かに委ねるのではなく、人々と連帯して社会を変える意思を感じた。以後、この言葉を大切にしている。(本書おわりにより)

もくじ

第1章 解雇された非正規労働者、国会へ

1 就職氷河期時代に社会へ―「失われた世代」を生きる
2 非正規労働という不条理―有期雇用で雇い止め 
3 生きていた労働組合―次の勝利のために 29
4 労働を変え、社会を変える―政治活動、3回の落選 
5 国会議員に―労働問題にこだわる

第2章 女性の声を政治へ 

1 女性が政治家になるということ
2 シングル・非正規の女性はこの社会をどう生きのびるか
3 少子化問題と就職氷河期世代―非正規雇用の入口規制を

第3章 権利のための闘い 

1 維新政治と労働組合バッシングがもたらしたもの
2 弾圧される労働組合―関西生コン事件
3 戦後責任を果たす―長生炭鉱の歴史を刻む
4 すべての人の人権が守られる社会へ

対談

藤川瑞穂×大椿ゆうこ 労働者を使い捨てにする企業と闘う
和田靜香×大椿ゆうこ シングル・非正規女性の生きづらさと政治

おわりに

私たち労働者は、もっと大切にされなければならない。労働者を使い捨てにする政治を終わらせるために、私は、これからもとことん闘います。

2025年7月号(最新号)