ねつ造された民意――ミャンマー総選挙のむなしい実態

根本 敬(上智大学名誉教授)
2026/02/05
軍事クーデターに対する抗議デモ、ヤンゴン(ミャンマー)、2021年3月7日 ©Theint Mon Soe / SOPA Images via ZUMA Wire / 共同通信イメージズ

 独裁体制や権威主義体制をとる国家では、国民による「承認」を国内外に見せつけるため、形骸化した総選挙をおこなうことが多い。そこでは特定政党や個人の参政権を認めない、政府批判を禁じる、秘密投票を守らないなどの事例がしばしばみられる。そうした総選挙は「見せかけ」の儀式に堕し、民意がねつ造されるのが常である。

 最近実施されたミャンマーの総選挙もそうしたもののひとつである。二〇二一年二月に起きたクーデター後、長期にわたる国軍への抵抗がつづく同国では、昨年(二〇二五年)末から本年一月までのあいだに、地域ごとに三回に分けて総選挙が実施された。しかし、最終結果を待つまでもなく、一月一一日に実施された第二回投票の開票をもって、国軍と表裏一体の連邦団結発展党(USDP)が上下両院合わせて一六七議席を獲得したという発表がなされた。これに憲法が規定する軍人議員枠の一六六議席を加えると、国軍系の議員が過半数を占める議会の発足が確定したことになる。大統領就任を目指す国軍のミンアウンフライン総司令官が、本年三月末に開催される新議会でその野望を達成することが確実となった。

 この総選挙に対し、国内外に住むミャンマー人の多くは強い反対の意を唱えるか、沈黙しつつも冷めた反応を示している。以下、選挙のむなしい実態について記すことにしたい。

総選挙はクーデターの総仕上げ

根本 敬

(ねもと・けい)上智大学名誉教授。1957年生まれ。専門はビルマ近現代史。東京外国語大学教授を経て2007年より上智大学教授、2023年より現職。主要著書に『抵抗と協力のはざま――近代ビルマ史のなかのイギリスと日本』(岩波書店)ほか。

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