空爆された学校——イランの教育と戦争をめぐって

森田豊子(元在イラン日本国大使館専門調査員)
2026/04/05
イラン南部にあるミナブ女子学校に対する攻撃で百数十名を超える児童が亡くなった。葬儀に参列した女性。3月3日。Amirhossein Khorgooei/ISNA/WANA/共同

 2026年2月28日、イスラエルと米国によるイラン攻撃が始まった。イランにおける核開発問題をめぐってイランの外相と米国の特使との協議が続いている最中の攻撃であった。イランはイスラエル及び中東湾岸諸国の米軍基地等への反撃を開始し、ホルムズ海峡は事実上封鎖されている。イランへの空爆は断続的に継続し、攻撃初日には政府高官らが会議を行なっている施設への空爆により、ハメネイ最高指導者が殺害された。その後、9日には憲法の規定に基づいた手続きを経て、死亡した最高指導者の次男であるモジュタバ・ハメネイ氏が次期最高指導者に選出された。ちなみに、イスラエルと米国によるイラン攻撃とイランによる周辺諸国への反撃は2025年6月にも行なわれており、それは12日間で停戦を迎えたことから、「12日間戦争」と呼ばれている。

 今回の攻撃の初日、イラン南部のミナブにおいて小学校が空爆を受けた。イスラエルによれば、12日間戦争において標的とされたのは軍事施設および核施設に限定されていた。しかし、今回は空爆開始直後に、この小学校への空爆と100名を超える子どもの死亡が報告された。これはイスラエルと米国による今回の攻撃が大規模で無差別のものであり、軍事施設および核施設だけを標的とするものではないのではないかという懸念を生じさせた。

イランの学校への攻撃

 3月5日付BBCペルシャ語の報道によれば、2月28日のイスラエルによる空爆開始から4時間後、イラン南部ホルモズガーン州ミナブにあるシャジャレ・タイエベ小学校が空爆された。

 ミナブはイラン南部のペルシャ湾、ホルムズ海峡にほど近い港町バンダル・アッバースから100キロメートルほど東に位置する。小学校のある敷地には革命防衛隊の下部組織の名前のついた看板が設置され、小学校と診療所と残りは不明の6つの施設がその敷地内にあったという。

 BBCの報道によれば168名が死亡と報告され、イラン司法当局の公式メディア、ミーザーン紙によれば、犠牲者のほとんどは7歳から12歳の小学生であり、男子児童66名、女子児童54名から成る110名の児童と26名の女性教員と保護者4名が含まれていたという。この学校はイランの女子児童むけの非営利学校と呼ばれる私立学校であったが、4階建ての建物の中で、階を分けて男子児童と女子児童が分かれてクラスが設置されており、男子児童も学んでいた。

森田豊子

専攻はイラン地域研究。具体的にはイラン女性、子ども、家族など。共著に『男女別学の倫理とイスラーム』(地平社)、『イスラーム・ジェンダー・スタディーズ1 結婚と離婚』(明石書店)、『宗教と風紀』(岩波書店)ほか。

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