この侵略は人権と外交への裏切りである——国連人権理事会報告

アリ・バフレイニ(国連イラン大使)
2026/04/05
米国とイスラエルの攻撃で被害を受けたテヘランにあるシャヒド・マハラティ男子小学校。教室内に瓦礫が散乱している。少なくとも5人の児童が命を落とした。3月3日。Xinhua/Shadati/ABACAPRESS.COM/共同

※この記事は、2026年3月16日にスイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会の「イランにおける人権」会議でのアリ・バフレイニ氏の発言です。


 副議長、こんにち、イランに関するもっとも緊急かつ根本的な人権問題は、無謀な軍事侵略下で、イラン国民の生命が差し迫った深刻な危険にさらされていることです。

 この侵略は、国際舞台においてもっとも無法かつ非道な行為者たち――民間人を殺害したり、もっとも基本的で、普遍的に認められた人権を踏みにじることに何の躊躇もない者たち――によって行なわれています。

 今この瞬間にこれらの犯罪と侵略行為以外のことを語ることは、それ自体が重大な責任放棄であり、イラン国民の人権の明確な軽視に他なりません。今日、人権理事会と特別手続の任務保持者は、学校の机で虐殺された何の罪のない子どもたちについて、断固とした声明を出さなければなりません。そしてこの理事会は、数千年の歴史ある文化遺産が無差別かつ違法な攻撃の標的とされている人々のために声を上げなければなりません。また、一連の攻撃の結果として放出された、有毒汚染物質で汚染された空気を吸わざるを得ない住民の声も代弁しなければなりません。

 副議長、この場において、特定の西側諸国は15年にわたり、イランへの根拠のない、政治的動機にもとづく人権侵害の主張を執拗に展開し、それによって、今日われわれが目撃している、まさにその侵略行為の土台を築いてきました。

 イランにおける個別的な問題が、イランへの敵対関係を常態化させる口実を作り出すために意図的に誇張され、重大かつ組織的な違反行為であるかのように描かれました。継続的な政治的圧力とプロパガンダによって、イランは徐々に、正当な攻撃対象として描かれるようになったのです。

 イラン民間人への絨毯爆撃や、イランの民間人に不必要で過剰な苦痛を強いる行為は、交渉や多国間主義という原則そのものを繰り返し裏切り、踏みにじる者たちが処罰されず、免責されていることの直接的な結果です。

 交渉が進行している最中にイランを侵攻した行為は、単に外交そのものへの裏切りにとどまりません。それは、人権という理念そのもの、人類の良心に対する裏切りです。

 同時に、これらの国々は、違法な制裁による壊滅的な人道的影響や、イランに対する2件の明白な侵略行為など、重大な違反行為について意図的に隠蔽してきました。

 もし隠蔽でないというのなら、なぜこれらの国々は、ミナブで罪のない子どもたちが殺害されたことについて沈黙をつづけるのでしょうか。なぜ、このような凶悪な犯罪が明確に非難されないのですか。[編註:2月28日にイラン南部ミナブの女子小学校が空爆を受け、110人を超える児童が殺害された]

 そしてなぜ、国際法に対するもっとも深刻な違反であり、イラン国民の生命に対する権利の露骨な侵害である侵略という根本的問題が、周辺的な政治的言説によって覆い隠されてしまっているのでしょうか。

 副議長閣下、ここ数週間、イランでは病院が爆撃され、飲料水の供給施設が意図的に標的にされ、住民の家屋が破壊されています。侵攻開始から最初の10日間で、約1万4000人の民間人が犠牲になり、20以上の病院や緊急医療拠点が空爆の標的となりました。

 このような状況で、イランにいったい何を期待しているのですか? こうした攻撃を仕掛けた者たち、あるいはそれを煽り、助長し、後押しした者たちは、イランの歴史や文化、文明について、ほんの少しでも理解しているのでしょうか?

 イランは、抑圧や脅迫、無法な侵略に屈するような国ではありません。生後6カ月の子どもが死の淵で苦しみ、1300人以上の罪のない命が奪われ、何千人もが負傷する事態に、国際社会は沈黙を続けるべきではありません。殺害された300人以上の女性や少女の遺族らは、人権理事会に対し、正義と、明確な原則にもとづいた対応を求めています。

 もしこの理事会が、再び沈黙や無関心、あるいは政治的偏向を選択するのであれば、ガザにおけるイスラエルの犯罪に対する消極的態度で信用が揺らいでいる理事会の立場は、もはや終わりを迎えることになるでしょう。

 副議長、イランは、[米の核]交渉に積極的に取り組んでおり、平和的かつ外交的な解決への提案を明確に表明していたにもかかわらず、侵略を受けたのです。

 この事実は、国際社会に対して極めて明確なメッセージを送っています。つまり、無謀な軍国主義、多国間主義の破壊、そして真の人権に対する組織的な黙殺が、沈黙や無関心でもって迎えられることが許されるならば、イランはそのような扱いを受ける最後の国にはならないだろうということです。

 最後に、イランは自国民、主権および領土保全を断固として守る決意であることを改めて表明します。国際法にもとづく固有の自衛権を行使し、イランはあらゆる侵略行為に対して断固として対応します。

アリ・バフレイニ

国連イラン大使。1971年生まれ。イラン外務省人権局長、イランのエチオピア大使、アフリカ連合常駐代表などを経て現職。

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