【連載】歌舞伎町で。(9)生き抜くためのシスターフッド

仁藤夢乃(一般社団法人Colabo代表)
2026/03/01

 年末年始、Colaboは緊急の相談にも対応しながら活動を続けた。この時期は、一年でもっとも忙しくなる。家で安心して過ごせない状況にあったり、虐待やDVのなかで生活したりしている少女たちにとっては、クリスマスや年末年始など、世間が祝日ムードの時にこそ孤独を感じる。学校も休みに入り、家にも家族がいて危険でも外は寒く、街にはお金がかからずにいられる場所もない。都会の少女たち以上に逃げ場のない、地方の少女たちにとっても苦しい時期だ。公的機関が閉まり、相談窓口や無料で過ごせる公共施設が開いていないことも少女たちを追い詰めている。

 緊急的に暴力から少女たちが逃れるようにするためのシェルター等の運営も、Colaboの活動の一つであるが、私たちがもっとも大切にしているのは、少女たちとの日常的な関わりの継続だ。その日常の上に、クリスマスや年末年始もある。

クリスマス——一緒に食べ、話す

 クリスマスには、Colaboとつながる少女や女性たち、その小さな子どもたちも集まって、バスカフェの活動などを「女の壁」として共にする中高年の女性たちも一緒に、持ち寄った料理を分け合って食べた。

 一緒に「食べる」ことも大切にしている。食べながら話をし、互いを知り、政治や男社会の問題についても語り合う。そんな日常がColaboでは積み重ねられている。年齢も、Colaboとつながってからの時間も関係なく、さまざまな状況にある少女や女性たちが、出会い、関わっている。

 一人ひとりが一年を振り返るとき「これまでずっと一人で考えていたけど、同じ志を持つ人たちと出会えて、パワフルなおばちゃんたちの姿がすごい新鮮だった。女の子たちにしつこくしていた性売買業者の男に対して強くモノをいう夢乃さんやおばちゃんたちの姿を見て、感動して、自分もこんなふうになりたいと思った」「それまで、人目を気にしていたけど、好きな服を着れるようになって、マインドが変わってきた。自分ははっきりした色味が好きだとわかった」と、インターンの学生たちが話した。

 Colaboとつながり、共に過ごし、声かけの活動などを続けてきた少女たちも、「今年は『なんでもいい』と言わなくなったよ! 来年は、もうちょっと強くなれるように頑張る」「今年は離婚できた!」と話して、「おめでとう!!」と拍手をあびていた。一人ひとりが意志を持ち、自分の意志で生きること、その道のりを私たちは一緒に歩いている。

サンタからのプレゼント

 その日の夜、シェルターに泊まった子どもたちのもとにはサンタさんが来たといい、翌日もらったものを見せてくれた。サンタさんがくれたのは、シルバニアファミリーという人形遊びができるおもちゃ。Colaboとつながる少女や女性たちの「家族」には、当然のことのようにほとんどの場合、父親がいない。それは、男たちが無責任だったからだ。

 このおもちゃが「ファミリー」コンセプトで、人形セットの多くに「お父さん」がついていることや、多くのファミリーが両親と二人の子どもでセット売りされていること、その家族みんなが同じ顔や同じ種類の動物なのはやめてほしいと思うが、サンタさんがその少女にくれたのは、クマとうさぎの女の子と、ひつじの赤ちゃんの人形だった。おもちゃをもらった少女は「ある日、ちっちゃい子ども一人と、お母さん一人がいました。パパはいませんでした」と語りながら、遊び始めた。自分の置かれた状況を理解しているからこそ、それをどう受け止めればよいのかともがくなかにこの遊びがあるのだと感じ、私もその海のなかを共に歩いていこうと思いながら、一緒に遊んだ。

 父親がいないことが良くないことなのではない。無責任な父親が多いことや、そのことで若くして出産した母親が苦労し、支えがないこと。生活が苦しく、精神的な余裕もなく、子どもたちにそのしわ寄せがくることや、父親がいないことに引け目を抱かせるような社会が問題だ。

大晦日——作り上げた日常のなかで

仁藤夢乃

一般社団法人Colabo代表。1989年生まれ。主な著書に『難民高校生 絶望社会を生き抜く「私たち」のリアル』(英治出版)、『当たり前の日常を手に入れるために 性搾取社会を生きる私たちの闘い』(影書房)など多数。

2026年3月号(最新号)

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