侵略への抵抗は続く――この無法を正当化することはできない

新藤通弘(ラテンアメリカ研究者)
2026/02/10
1月5日、暫定大統領への就任を宣誓するデルシー・ロドリゲス。ベネズエラ・カラカスで

ついに実施されたベネズエラ攻撃

 本年早々の一月三日未明、米軍は、一五〇機以上の航空機を動員し、首都カラカス市およびミランダ県、アラグア県、ラ・グアイラ県の民間および軍事施設を急襲し、陸軍の特殊部隊であるデルタフォース部隊が、ニコラス・マドゥーロ大統領と妻、シリア・フローレス国会議員を米国に強制連行した。

 昨年半ば以降の麻薬取り締まりを口実とした原子力潜水艦、原子力空母打撃群のカリブ海の配備を背景とした数カ月がかりの作戦の実施であった。この攻撃により、ベネズエラ人六八人、キューバ人兵士三二人が殺害された。それまでの小型船撃沈による一〇七名の乗組員殺害と合わせて、二〇〇人以上が殺害されたことになる。この行為は、国連海洋法条約(一九八二年)、一九八八年のウィーン薬物条約、国際人道法(一九四九年)、国連憲章の第二条第四項(武力行使の原則禁止)、第五一条(個別的自衛権)などに違反するだけでなく、米国自身の法律、例えば海事薬物取締法や、適正手続きを規定した米国憲法修正第五条にも違反するものである。また、マドゥーロ大統領の拉致は、国家元首(大統領や首相など)が在任中、外国の刑事裁判権から免除され、逮捕・訴追されないという国際慣習法にも違反している。

 さすがに、こうした国際法、国際人道法、国際慣習法、国連憲章に違反する無法行為に、ドゥジャリク国連事務総長報道官は三日、米国によるベネズエラ攻撃についてグテレス事務総長が「国際法が順守されていないことに強い懸念を示している」との声明を発表するとともに、すべての当事者に対し、国連憲章を含む国際法を尊重するよう呼びかけた。

 もっとも、米国側は、マルコ・ルビオ国務長官は、「国連が何を言おうと私は気にしない」と国連無視の態度をとっており(二〇二五年九月二五日)、トランプ大統領は、「国際法は必要ない」と発言しているので(二〇二六年一月八日)、内外からの厳しい批判を一顧だにしない無法ぶりである。 

米国が提示する四つの罪状は正しいか

 一月五日、マドゥーロ大統領、フローレス議員は、ニューヨークの連邦地方裁判所に召喚され、次の四つの罪状で起訴された。

新藤通弘

(しんどう・みちひろ)ラテンアメリカ研究者。1944年生まれ。中央大学文学部史学科卒業。専門はキューバ現代史。キューバ農業経済調査団員、ハバナ大学(キューバ)非常勤講師、アジア・オセアニア研究所(キューバ)非常勤講師を歴任。

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