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1975年4月30日、サイゴン陥落(解放)。北ベトナム軍が南ベトナムの首都サイゴン(現ホーチミン市)に入城してベトナム戦争は終結した。それから50年経った。
そのとき私は高校3年生だった。米軍が北爆を開始した1965年2月は小学1年生の3学期、南べトナム解放民族戦線が総攻撃に出てサイゴンに迫ったテト攻勢が行なわれた1968年1月は小学4年生の3学期。子どもだった頃、戦争と言えばベトナム戦争のことだった。
1968年は、アメリカでベトナム反戦運動が大きく盛り上がった年であり、パリで5月革命が起き、日本でもベトナム反戦を掲げる学生運動が活発になった。
ところがイギリスでは、ベトナム反戦運動がことさら盛り上がることはなかったようである。
ヨーロッパに長く滞在したアメリカ人ジャーナリスト、フローラ・ルイスは、著書『ヨーロッパ 民族のモザイク〈上〉』(1990年)でこのような指摘をしている。
「1968年という謎に満ちた年、先進工業国、あるいは新興工業国は、いずれも鋭い痙攣を起こした。そのなかで、イギリスはほとんど唯一の例外だった」
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