【ポテトチップスが危ない】国産ジャガイモの危機――米国産輸入解禁の問題点

天笠啓祐(ジャーナリスト。市民バイオテクノロジー情報室代表。日本消費者連盟顧問)
2026/10/05

 米国トランプ政権が、日本政府に対してジャガイモの全面輸入解禁を迫っており、高市政権もそれを受け入れようとしている。これまでも米国政府の圧力で、少しずつ輸入の枠が広がってきていたが、まだ一部の輸入にとどまり、用途もポテトチップスに限定されてきた。それを店頭に並ぶ生のジャガイモまで含め、あらゆる用途に使うよう圧力が強まり、すでに農水省も解禁に向けて、植物防疫法省令の改正手続きを進めている。いま、国産ジャガイモが崩壊の危機を迎えるとともに、ポテトチップスの表示から国産の文字が消え、スーパーの店頭で並ぶ生のジャガイモ、ファストフード店やファミリーレストランのフライドポテトが米国産に置き変わろうとしているのである。

危険な害虫が侵入する

 この間、日本政府は米国政府の意向に沿った規制緩和を次々と進めている。その一つとして、今年4月30日に食品安全委員会による狂牛病(BSE)での危険部位の見直し容認を受けて、6月に消費者庁が正式に見直しを行なったことがあげられる。この動きも米国産牛肉のBSEを理由とした輸入規制の緩和が目的である。

 そして今回のジャガイモの規制撤廃による輸入拡大である。安い米国産ジャガイモの流入によって国産ジャガイモが打撃を受けることは避けられず、北海道などの生産地のダメージは大きい。問題はそれだけではない。米国産ジャガイモにはシストセンチュウという、始末の悪い害虫が広がっている。ジャガイモにつくのは「ジャガイモシストセンチュウ」と「ジャガイモシロシストセンチュウ」の2種類あるが、いずれもシストと呼ばれる覆いを持ち、過酷な環境でも生き延び、どんな農薬でも死なない。シストセンチュウのメスは200~500個という大量の卵を生み、死んでもその体が硬化して球形の包み(シスト)になり、卵がその中で長く生存し、それが孵化するとまたジャガイモの根に寄生し、卵を生むというサイクルを繰り返す。シスト内で卵は15年以上生存が可能である。寄生により根が傷ついて水分や養分を吸い上げられなくなり、生育不良を起こして収穫量が激減する。米国でこの害虫が流行しているため、長い間、日本への輸入が禁止されていた。

 しかし、米国政府の圧力に屈し、2006年以来、徐々に輸入が部分的に解禁されつづけ、いまやポテトチップスに「アメリカ産」という表示が増えるまでになってしまった。それでもまだ、この害虫の流行地帯で収穫されたジャガイモは入り込ませない体制にある。いまその体制を全面的に崩すことが要求され、日本政府もそれを受け入れようとしているのである。

ポテトチップスが危ない

天笠啓祐

(あまがさ・けいすけ)ジャーナリスト。市民バイオテクノロジー情報室代表。日本消費者連盟顧問。遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表。著書に、『新型コロナワクチン——その実像と問題点』(緑風出版)、『経済安保が社会を壊す』(共著、地平社)など多数。

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