ソマリアは、アメリカのシンクタンクであるファンド・フォー・ピースが公表している最新の「脆弱国家指数2024年度版」において、世界で最も脆弱と評価されている。その意味では、ソマリアは現代世界において理念型としての国家から最も乖離しているとも考えられる。
ソマリアは、1991年のシアド・バーレ政権崩壊以降、国内はクラン(氏族)を基盤とする「軍閥」の対立が激化する形で国内の不安定化が継続してきたほか、2000年代半ば以降は、イスラーム武装勢力として知られるアッシャバーブが勢力を拡大してきた。また、2000年代後半から2010年代前半にかけてアデン湾を中心に、「ソマリア沖海賊」が活発化したことを受けて、日本を含む各国による海賊対処活動が行なわれてきたことでも知られる。2012年に、21年ぶりに国際社会からの政府承認を受ける連邦政府が樹立されたが、連邦を構成する州はそれぞれの地域において支配的なクランが優位な体制である上に、その行政能力には大きな課題がある。加えて、アッシャバーブの影響力が中南部ソマリアに広く及んでおり、安全保障上の課題も大きい。
こうした状況に対し、アフリカ連合(AU)は、2007年1月から、前年にモガディシュに樹立された暫定連邦政府を支援し、治安回復を狙いとして、約2万人規模のアフリカ連合ソマリアミッション(AMISOM)を派遣した。AMISOM の活動は2022年3月末で終了し、同年4月からその後継ミッションとして、ソマリアの平和活動をソマリア軍に移行するために、アフリカ連合ソマリア移行ミッション (ATMIS)が派遣され、同年12月末まで活動を行なった。その後、2025年1月からは、ソマリアの平和維持と安定化を目指したアフリカ連合ソマリア支援安定化ミッション (AUSSOM)が活動している。AMISOM以降、その兵員はアフリカ諸国が提供する一方、資金面では欧米に依存してきた。しかし、2026年7月1日に、アメリカがAUに書簡を送り、国連ソマリア支援事務所(UNSOS)への資金提供を今期限り(2026年12月31日まで)で終了すると通告した。これは、UNSOSを経由してAUSSOMに供与されてきたアメリカの資金が打ち切られ、ソマリアにおける平和活動が厳しい状況に追い込まれることを意味する。




