安全を捏造する——浜岡原発データ改ざんの手法

只野 靖(東京共同法律事務所弁護士)
2026/06/17
新潟県の東京電力柏崎刈羽原発。2025年11月7日(共同通信社機から)/共同

 本年1月、中部電力・浜岡原発について、基準地震動の策定に用いられた地震動データが、意図的に捏造されていたことが、明らかになった。

 中部電力・浜岡原発は、南海トラフ巨大地震の震源域直上に位置している原発であり、巨大地震・津波リスクが最も高い施設である。このことは、2011年3月11日の東京電力福島第一原発事故後、そのリスクの高さゆえに、当時の菅直人首相が運転停止を求め、中部電力は、それに従って、同年5月に運転を停止したことに端的に示されている。

 原発の「基準地震動」とは、その原発の設計の際に想定する最大の揺れのことである。周辺の地質や断層、過去の地震活動などをもとに、科学的に想定される最大クラスの揺れとして設定されるもので、行政の定める設置許可基準においても、「最新の科学的・技術的知見を踏まえ、敷地及び敷地周辺の地質・地質構造、地盤構造並びに地震活動性等の地震学及び地震工学的見地から想定することが適切なものとして策定する地震動」とされている(設置許可基準規則の解釈別記2の5)。原発の耐震安全性の根幹をなす、極めて重要な指標である。

 中部電力を含め原発事業者は、これまでも、原子力の安全性に関して、数多くの不正や事故・不具合を生じさせてきた。そして、それらについて情報の隠蔽やごまかしを繰り返してきた。たとえば、機器・配管について、応力腐食割れによるひび割れが発生していたのに、そのことを隠しつづけたり(福島第一、福島第二、柏崎刈羽など)、敷地内に断層があることを把握していたのに、それを過小評価したり(敦賀など)していた。また、津波地震に関して新しい知見が報告され、これに基づくと想定していた津波高をはるかに超える津波が敷地を襲い、全電源喪失となり過酷事故になる可能性が高いことを把握していたのに、この結果を隠しつづけ、また、何の対策もしないままでいた(この結果、福島第一原発事故を起こした)。そうした不正の事例は、あげ始めればきりがない。

 しかしながら、今回の中部電力・浜岡原発についての地震動データの捏造は、こうした機器・配管の不具合や、自然現象に関する知見に基づく危険性などの不都合な事実を隠蔽したというものではなく、地震動データを、より積極的に意図的に捏造したというもので、これまでの不祥事とは比較にならないほど、悪質極まりないものである。

改竄に使われた手法

只野 靖

(ただの・やすし)東京共同法律事務所弁護士。1971年生まれ。早稲田大学法学部卒業。2001年、弁護士登録。一般民事事件の傍ら、ダムや水害などの河川の問題と、原発訴訟に関与。

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