2025年1月、「M23」として知られる反政府勢力は、隣国ルワンダの軍隊とともにコンゴ民主共和国東部のゴマ市に侵入、占領した。翌月、彼らはこの地域のもうひとつの主要都市ブカブを占領した。その後、反政府勢力は西への進軍を続けており、M23指導者は、1500キロも離れた場所にあるコンゴ民主共和国の首都キンシャサへの進軍を予告した。
コンゴ民主共和国では、いくつもの紛争が重なり合い、数十年にわたり様々な形で続いている。全体の死者数はもはや推計すら難しくなっているが、1998年から2007年の間だけでも、紛争によって540万人もの死者が出たと推定されている。これは、1950年代の朝鮮戦争以来、世界で最も死者の多い紛争となる。さらに数百万人が現在も家を追われており、紛争によってすでに脆弱だったライフラインや社会サービスは壊滅的な打撃を受けている。
これは「内戦」ではない。今回のルワンダの侵攻に限らず、この地域の他の複数の国々がこの国の紛争に軍事的に関与しつづけており、国際的な紛争といえる。これほどの規模で、地域全体の平和への脅威となっているにもかかわらず、この紛争に対する日本のメディアの関心は極めて低い。しかし2025年には、主要都市の占領が限定的ではあるがメディアの注目を呼んだようだ。この機会に、コンゴ民主共和国の紛争の過去と現在を概観する。

M23の反乱
コンゴ民主共和国で進行中の数多くの紛争の中で、現在、最も際立っているのが政府とM23との戦いである。M23はコンゴ民主共和国の反政府勢力の中で最も強力な軍事力を持っている。この紛争の起源は古く、そして根深い問題を孕んでいる。植民地時代以前から、ルワンダから現在のコンゴ民主共和国東部への移住は盛んに行なわれてきた。その結果、国境を挟んだ両側で民族的なつながりが続いている。民族分布によって民族アイデンティティを軸とした土地の権利、市民権、政治権力などをめぐる迫害や衝突が起こってきた。