特集「大阪デモクラシー 維新政治の先へ」
街の本屋だからこそ見えてくるものがある。
2024年1月、『イスラエル軍元兵士が語る非戦論』を上梓されたダニー・ネフセタイさんと、この本の企画、構成をされたルポライター永尾俊彦さんを「作家と読者の集い」にお招きした。永尾さんは東京在住なのだが、ちょうど大阪に行く用があるから、と来てくださったのだ。
永尾さんの大阪での用事というのは、大阪で制定された「国旗国歌条例」についての高裁判決を受けた記者会見の取材だった。この条例は教員に「君が代」の起立斉唱を強制するもので、「職務命令に三回続けて違反すれば免職」と定めていた。これに対し、「子どもの権利条約には子どもの知る権利もうたわれているが、君が代の歌詞の意味を教えずに一方的に歌わせている。それは教育ではなく調教だ」との理由から、「生徒への人権侵害に手を貸せない」と主張して卒業式で起立せず、戒告処分された元教師がいる。永尾さんが取材に行かれた裁判は、その元教師への処分取り消しを求めたものだった。
判決は元教員側の訴えを退けたものだったが、問題はそれだけではなかった。
永尾さんは、こう話された。
「他の自治体にはないこの特殊な大阪の条例をめぐる裁判の会見に、在阪のどのメディアも来ていませんでした。いたのは東京から来た私だけだったんです」
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