キューバの危機と転換

山岡加奈子(日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター主任研究員)
2026/09/04
キューバ・ハバナの旧市街に描かれた故チェ・ゲバラの壁画。アメリカの経済制裁と原油輸入の途絶によって電力供給がきわめて不安定に。=2026年6月24日(共同)。

 2026年1月3日の米軍によるベネズエラ攻撃は、キューバにとっても大きな衝撃となった。第2次トランプ政権が発足してから、同政権は両国に対する圧力を強めており、ある程度の覚悟はあったかもしれないが、実際に軍事攻撃が行なわれ、短時間のうちにマドゥーロ大統領が米国に連行されたことにより、1999年にチャベス大統領がベネズエラで政権を取って以来続いてきた両国の緊密な関係が突然終了することとなった。

 同1月29日には、トランプ政権はキューバに原油を送る第三国に対し、関税を引き上げると宣言。ベネズエラ以外のキューバの友好国がキューバに原油を供給する道を断った。これによりキューバのエネルギー事情は急速に悪化し、すでに悪かった経済はさらに悪化、市民生活は人道危機ともいえるほどの低水準に落ち込んでいる。

 ベネズエラ攻撃の直後、次はキューバが武力攻撃されるのではないかと懸念されたが、2月28日に米国・イスラエルによるイラン攻撃が始まり、一応その可能性は今のところ中断しているように見える。キューバ政府は自国の主権や独立は堅持すると引き続き宣言しつつ、3月13日には米国と交渉を行なっていることを初めて正式に認め、平和的解決の道を探っているように見える。

 本稿では、2026年前半に目まぐるしく動いているキューバと米国の関係の変化を振り返り、キューバ自身が米国の圧力の強まりの中でどのような対応策をとろうとしているかを探る。

ベネズエラ攻撃の衝撃

山岡淳一郎

(やまおか・じゅんいちろう) ノンフィクション作家。1959年生まれ。著書に『ゴッドドクター徳田虎雄』(小学館文庫)、『ルポ 副反応疑い死』(ちくま新書)、『コロナ戦記 医療現場と政治の700日』(岩波書店)ほか多数。一般社団法人デモクラシータイムス同人。

2026年9月号(最新号)

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