2025年7月の日本の参院選では、自民党、公明党、共産党などの既成政党が軒並み不振だった一方、国民民主党や参政党が躍進し、日本保守党やれいわ新選組が議席を増やすなど、新興政党の伸長が顕著だった。特に参政党の支持拡大は大きな驚きを呼び起こした。
ただ、選挙後の参政党・神谷宗幣代表のインタビューにおける発言を聴いていて、おや、と思ったことがある。神谷は今後、衆議院選挙でも議席を伸ばし、40~50程度の議席を得たうえで、小規模の政党が4~5党ぐらいで連立する、ヨーロッパ型の連立政権を目指す、と表明したからである。
有力政党が弱体化し、1党はおろか2党でも連立政権を成立させることが困難となりつつあるヨーロッパ諸国でも、「4~5党連立」は少ない。特に日本に馴染みの深いヨーロッパの国の中で、四党連立が近年続いてきた国の代表格として挙げることができるのは、おそらくオランダぐらいだろう。実際に神谷がオランダを念頭において発言したかどうかは不明だが、オランダでは、直近の選挙で既成政党が軒並み敗北して新興政党が複数台頭したことといい、急進右派政党が躍進して四党連立政権がその後成立したことといい、神谷の想定と近い事態が進んでいる。そうだとすれば、現代オランダの政治には、混迷する日本政治を考えるうえで重要なヒントが潜んでいるのではないか。
そこで本稿では、近年のオランダ政治で何が起きているのか、そこから何を学び取ることができるのか、日本政治との比較を念頭に置きつつ、論じてみたい。